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PRESS - 2025.02.07

Bloom Now|春の訪れを祝う、名作と出会うアートオークション -目覚めの季節に、世界を彩るアートが集結-

SBIアートオークション株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役:藤山友宏)は、2025年3月8日(土)、東京国際フォーラムにて「第70回SBIアートオークション|Bloom Now」を開催いたします。オークションタイトルを新たに「Bloom Now」とし、国内外の巨匠から現代の気鋭アーティストまで、アートシーンを彩る名作が一堂に集います。春の訪れとともに、心躍るアート作品との出会いをお楽しみください。

今回のオークションには、奈良美智の《The Little Thinker (No. YNF5386)》が登場します。奈良の作品は、少女像が特徴的ですが、本作では少女が思索にふけるような表情を浮かべつつ、穏やかな微笑みをたたえている点が印象的です。幼少期の記憶や感情を想起させるような奈良の作品は、国内外で高い評価を得ており、本作もまた必見の一作です。また、今回登場する草間彌生の《かぼちゃ》は、白黒のモノトーンで描かれたアクリルのキャンヴァス作品で、本オークションのトップロット(当該セールの中で最も高い落札予想価格(エスティメート)が設定されたロット)となります。一方、韓国と日本の戦後美術を代表するアーティストの一人、李禹煥の《With Winds》は、昨年10月のオークションでも登場した作家の代表的なシリーズの一つです。本作はF30 号の横型作品となり、限られた色調ながら、力強い筆致が印象的な一作です。

また、今回のオークションは写真作品も充実しており、そのなかでも注目はアンドレアス・グルスキーの《Em Arena II, Amsterdam》です。まるで絵画のように壮大でありながら細部まで綿密に計算された構図が、圧倒的なインパクトを与えます。このほか、リチャード・アヴェドンの《Nastassja Kinski and the Serpent, Los Angeles, California, June 14》も出品されます。

人気の高い作家の作品としては、加藤泉の彫刻作品が登場。葉のシルエットや生命の原点を思わせるフォルムが特徴的で、観る者に原始的なエネルギーを感じさせます。そのほか、ロッカクアヤコの《Untitled》は、作家の代表的な少女のモチーフを、赤を基調とした背景に描いた作品で、華やかな色彩のなかに神妙な表情を浮かべる少女は、人々の興味を誘います。さらに、日本画の伝統を現代に昇華させた千住博の《ウォーターフォール》も注目作品の一つです。滝の流れの描写を通じて感じる水の動き「動」と、画面全体を覆うような静けさ「静」が美しさを織りなします。ストリートアートから現代アートへと作品を昇華させたジャン・ミッシェル・バスキアの《Cabeza, from Portfolio II》。見開かれた目、長く伸ばして描かれたような首や他に比べ細かく描かれた口元などを持つ画面中央に描かれた人物像は、作家特有のビビットな色使いを背に、抽象的でありながらも人々の注目を惹きつけます。
春の訪れを、心躍らせるアート作品とともに迎えるのはいかがでしょうか。また、本オークションは「Art Fair Tokyo」と同時開催となります。年に一度のアートの祭典と併せてお楽しみください。

実施概要
「第70回SBIアートオークション|Bloom Now」
オークション
・総出品数:93点
・日時:2025年3月8日(土)13:00-
・会場:東京国際フォーラムホールD5(〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-5-1)

下見会
・日時:2025年3月6日(木)-3月8日(土)11:00-
・会場:東京国際フォーラムホールD7(〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-5-1)

※会場、もしくは、電話、書面又はオンライン入札にてご参加ください。
※オークションの進行状況はYouTubeから視聴できます。
 YouTube Streaming:https://www.youtube.com/channel/UC32a7MUOI-xI1DY-CghG-KA
※詳細はウェブサイトをご確認ください。
 https://www.sbiartauction.co.jp/lp/2025_03_08/jp/(2025年2月14日(金)公開予定)

■出品作品ハイライト 
※オンラインカタログ(2025年2月14日(金)公開予定)https://www.sbiartauction.co.jp/auction/catalogue/128


■SBIアートオークションとは

20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、モダンアートや写真・デザイン・工芸など、多岐にわたりお客様のライフスタイルを彩る良品をご紹介する公開型オークションです。登録顧客の国籍は63か国、落札総額の約5割を海外顧客の落札が占める(※)など、国内随一の国際性を誇ります。日本のアートマーケットを象徴する作家の作品はもちろん、国内オークションへの出品が少ない海外作家の作品も積極的に紹介し、日本のアートマーケットの成長・拡大に取り組んでいます。(※)2025年1月現在

■オークション参加について
オークションは売却額を競り上げる方式で行われます。
初めて参加くださるお客様には、事前の登録をお願いしております。
オークションで作品を購入する方法の詳細は、以下のページでご確認いただけます。
購入方法詳細:https://www.sbiartauction.co.jp/buy-sell/buy/

■今後のオークションスケジュール(予定)
第71回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
開催日:2025年4月11日(金)、12日(土)

第72回SBIアートオークション|MODERN AND CONTEMPORARY ART
開催日:2025年5月23日(金)、24日(土)

■SBIアートオークション株式会社
美術品のオークション、売買、売買仲介、ファイナンス、アドバイザリー等、お客様のニーズに応じて、国内外の幅広いネットワークを活用した多角的な事業を展開しています。サービスの提供を通じて、より多くの方に美術品を所有する喜びや大切さ、面白さを伝えていくと同時に、美術品を永く大切にし、次の代につないでいくお手伝いをしております。

会社名:SBIアートオークション株式会社
代表者:代表取締役 藤山友宏
所在地:東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
設立:2011年4月1日
HP:https://www.sbiartauction.co.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/sbiartauction/
※当社ウェブサイトを装ったなりすましにご注意ください。



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AUCTION - 2025.01.28

【落札結果&次回出品募集】第69回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art

2025年1月25日、26日開催のオークション「Modern and Contemporary Art」の落札結果をご報告をいたします。
ご参加いただき誠にありがとうございました。

総額:608,321,250円
落札率:93.9%

>> 落札結果 [オンラインカタログ]
>> 落札結果 [PDF]

◆落札結果ハイライト
落札価格には手数料(消費税別)が含まれています。


Lot. 085
草間 彌生
無題
40,000,000 - 70,000,000 JPY
Price Realized 65,550,000 JPY



Lot. 031
山口 長男
小さい窓
8,000,000 - 14,000,000 JPY
Price Realized 20,125,000 JPY



Lot. 086
奈良 美智
In the Floating World (Complete set of 16) (YNF2558 - 2573)
15,000,000 - 25,000,000 JPY
Price Realized 29,900,000 JPY



Lot. 087
奈良 美智
火の山 (No. YNF5387)
2,500,000 - 3,500,000 JPY
Price Realized 7,820,000 JPY



Lot. 005
アンディ・ウォーホル
Chicken Noodle, from Campbell's Soup I (F. & S. Ⅱ.45)
5,000,000 - 8,000,000 JPY
Price Realized 11,500,000 JPY



Lot. 009
ゲルハルト・リヒター
Haggadah (P2)
2,000,000 - 3,000,000 JPY
Price Realized 5,750,000 JPY



Lot. 112
ロッカク アヤコ
Untitled
8,000,000 - 14,000,000 JPY
Price Realized 16,100,000 JPY



Lot. 156
ミスター
河川敷 少女の逆光 まぼろしかな 夕暮れの 少女眩しく 河川敷かな
900,000 - 1,400,000 JPY
Price Realized 4,600,000 JPY



Lot. 096
名和 晃平
PixCell-Toy-Miffy #7
1,500,000 - 2,500,000 JPY
Price Realized 2,875,000 JPY

◆開催予定と出品募集
第70回 SBIアートオークション|Bloom Now
開催日:2025年3月8日(土)
下見会:2025年3月6日(木)- 8日(土)
出品受付は締め切りました。

第71回 SBIアートオークション|LIVE STREAM AUCTION
開催日:2025年4月11日(金)- 12日(土)
出品受付締切:2025年2月18日(火)
出品をお待ち申し上げております。

査定は下記からお申込みいただけます。
ご検討くださいますようお願いいたします。
>> 査定依頼

◆問合せ先
SBIアートオークション
TEL: 03-3527-6692 FAX: 03-3529-0777
Email: artauction@sbigroup.co.jp

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PRESS - 2025.01.23

新年の始まりをアートで彩る、東京で訪れるべきアートスポット7選 -2025年1月-

今年も、国内外のアーティストによる作品を、さまざまな形で鑑賞・体験できる美術展やイベントが目白押しです。2025年の始まりをアートで彩るのはいかがでしょうか。

今回は、「伝統技術とアートの融合 -時代を超えて輝く表現の再解釈-」と「現代技術の賜物 -新時代が切り拓くアートの可能性-」の2つのテーマに着目してセレクトした美術展やイベントを紹介いたします。古くから人々の暮らしや文化に根付いてきた伝統的な技術が現代のアートにどのような息吹を吹き込んでいるのか、また科学技術の進化による芸術表現への影響を感じ取ることができるでしょう。

国立西洋美術館で開催中の「モネ 睡蓮のとき」は、世界で愛される印象派を代表する画家クロード・モネが、独特のスタイルで織りなした光と自然の世界を体験できます。渋谷区立松濤美術館では、「須田悦弘」展が開催されており、普段の生活のなかで触れ合うような自然物をモチーフに細部まで彫り込まれた彫刻作品が見る者を驚かせます。都内では希少な自然環境にあり建物自体も国の重要文化財に指定されている東京都庭園美術館では、「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」展が開催。長い間人々の生活の一部となってきた鉄やガラスなどを使用して制作を行うアーティストたちに着目しています。

デジタルメディアから取得したデータをアプリで加工・構成した下図をもとに油彩で描くスタイルが特徴的な今津景。東京オペラシティアートギャラリー「今津景 タナ・アイル」展とUESHIMA MUSEUM ANNEX「今津景展」を通じて、その表現に浸ることができるほか、東京都現代美術館では、世界的に有名な音楽家・アーティストであり、マルチメディアを駆使したライブインスタレーションなども制作した坂本龍一の大規模個展「坂本龍一|音を視る 時を聴く」が開催。現代アートの優品が揃う弊社オークションと併せて、是非巡っていただきたい展示が勢ぞろいです。

目次
1. 「伝統技術とアートの融合-時代を超えて輝く表現の再解釈-」
 1) 国立西洋美術館「モネ 睡蓮のとき」
 2) 渋谷区立松濤美術館「須田悦弘」展
 3) 東京都庭園美術館「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」

2. 「現代技術の賜物 -新時代が切り拓くアートの可能性-」
 1) 東京オペラシティアートギャラリー「今津景 タナ・アイル」
 2) UESHIMA MUSEUM ANNEX 「今津景展」
 3) 東京都現代美術館「坂本龍一|音を視る 時を聴く」
 4) SBIアートオークション「第69回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art」

1. 「伝統技術とアートの融合-時代を超えて輝く表現の再解釈-」
古くから人々の暮らしや文化に根付いてきた伝統的な技術が、現代のアートにどのように息吹を吹き込んでいるかが伝わるような展覧会を紹介いたします。油絵や木彫り、建築、さらには鉄やガラスなどの素材を用いたクラシカルな技術は、単なる技法を超え、芸術家たちの個性や時代の感性と結びつくことで、新たな価値を生み出しています。

1) 国立西洋美術館「モネ 睡蓮のとき」(2024年10月5日(土)-2025年2月11日(火・祝))


2024年10月から国立西洋美術館では、「モネ 睡蓮のとき」が開催されています。日本でも人気が高い印象派を代表するクロード・モネの大規模個展である本展覧会は、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館所蔵の日本初公開作品を含む約50点と日本国内で所蔵されている名画を集結させた充実のラインナップです。ロンドンの街並みやセーヌ河の作品群の後、「睡蓮」を主題として水と花々を描き始め、多くの困難を経て、睡蓮の池を描いた巨大パネルで部屋を覆うという画家の計画であった「大装飾画(Grande Décoration)」の制作時代へと移り変わります。晩年には白内障の症状により色覚の変化が生じながらも、その制作衝動の強さや経験に裏打ちされた色彩感覚、実験精神を感じる作品群が展示されています。数々の困難を前に活動を止めることがなかったモネが油彩画を通して表現した世界は、彼の生きた時代にすでに確立された絵画技法への力強い挑戦でもありながらも、「色彩の交響曲」と言えるそのたゆたう睡蓮の池の水面や自然は、今日を生きる人々にとっても想いを馳せる拠り所となり続けています。

2) 渋谷区立松濤美術館「須田悦弘」展(2024年11月30日(土)-2025年2月2日(日))

左:須田悦弘 《スズメウリ》 2024年 木に彩色 作家蔵 ©Suda Yoshihiro / Courtesy of Gallery Koyanagi
中央:須田悦弘《東京インスタレイシヨン》(部分)1994年 ミクストメディア 山梨県立美術館寄託 ©Suda Yoshihiro / Courtesy of Gallery Koyanagi
右:須田悦弘《ガーベラ》1997年 木に彩色 東京都現代美術館蔵 賛美小舎 上田國昭氏・上田克子氏寄贈 撮影:田中俊司 ©Suda Yoshihiro / Courtesy of Gallery Koyanagi

2024年11月30日から渋谷区立松濤美術館で開催されている「須田悦弘」展は、日常の草花や雑草を驚くほど精巧に彫り上げた木彫作品を通じて、自然とアートが交錯する特別な体験を提供します。須田の作品は本物そっくりの植物を実物大で再現し、それを思いがけない場所にそっとすることで、空間と一体化した独自の世界を作り出します。今回の展覧会では、須田の初期作品やドローイング、さらには古美術品の欠損部分を補う「補作」作品までを展示。この機会にしか見られない卒業制作の再現展示も注目です。松濤美術館は、「哲学の建築家」と言われる白井晟一の設計によるユニークな建築で、曲線を多用した展示空間に配置された須田の作品は、訪れる人々に静謐で詩的な体験をもたらします。

静かに置かれた作品を探し出したとき、周囲の景色が変わって見える体験を味わうことができます。

3) 東京都庭園美術館「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」(2024年11月30日(土)-2025年2月16日(日)

左上部:東京都庭園美術館 本館 正面玄関
左下部:東京都庭園美術館 本館 大客室と香水塔
中央:青木野枝《微塵》2020年 gallery21yo-j (東京)展示風景 ©Noe Aoki, courtesy of ANOMALY(撮影:山本糾)
右:三嶋りつ惠《VENERE》2023年 UESHIMA MUSEUM COLLECTION(撮影:Francesco Barasciutti)

東京都庭園美術館では、「そこに光が降りてくる 青木野枝/三嶋りつ惠」が開催中です。降り注ぐ太陽の光、穏やかな月明かり。私たちの日常はさまざまな光との出会いに彩られています。この展覧会では、現代美術の第一線で活躍する青木野枝と三嶋りつ惠の作品が、鉄とガラスという古くから人間の世界に存在し続けている素材を使用し、アール・デコ様式の装飾空間を舞台に新たな輝きを放ちます。二人はこの場所を訪れ、空間と対話を重ね、この展覧会のためだけの展示プランを構成しました。青木は、鉄が溶断するときに見せる内部の「透明な光」からインスピレーションを受け、この重い素材が持つ光に向き合い続けてきました。一方、三嶋は透明なガラスを通して「光の輪郭」を表現しようと試みてきました。昼は自然光が差し込み、夕暮れには暖かな室内照明が灯り、光の移ろいが作り出す空間のなかで、それぞれの素材とそれぞれの「光」への意識や向き合い方が表現された作品が展示され、瞬間の美を魅せます。

歴史と現代、鉄とガラス、作家と空間が交差するこの展覧会は、光の芸術を通じて私たちの感覚を新たな世界へと誘います。


2. 「現代技術の賜物 -新時代が切り拓くアートの可能性-」
科学技術の進化は、芸術表現にも新たな地平をもたらしています。デジタルツール、AI、VR、3Dプリント、音響技術といった現代の技術は、これまで不可能だったアートの実現や、新しい視点・体験の創出を可能にしています。本特集では、現代技術がアートに与える影響とその未来像に迫り、「今だからこそ生まれるアートの表現性」を深く掘り下げます。伝統と現代の狭間で生まれる新たな創造を通じて、技術と芸術の交差点を探ります。

1) 東京オペラシティアートギャラリー「今津景 タナ・アイル」(2025年1月11日(土)-3月23日(日))

左上:「unearth」ROH (インドネシア) 展示風景 2023 courtesy of The Artist and ROH
左下:《When Facing the Mud(Response of Shrimp Farmers in Sidoarjo)》油彩、アクリル、泥、UVプリント、キャンバス 194×388 cm 2022 個人蔵 courtesy of The Artist and ROH
中央:《Decoupling》2016 油彩、キャンバス 116×80 cm 個人蔵 courtesy of The Artist and ANOMALY
右:《Last Universal Common Ancestor》2022 油彩、キャンバス 201×135.5 cm Obayashi Collection courtesy of The Artist and ANOMALY

2025年1月11日から東京オペラシティアートギャラリーで開催されている今津景「タナ・アイル」展。今津は、2017年よりインドネシアのバンドンに制作・生活の拠点を移し、インドネシアの都市開発や環境汚染などの事象を自分自身で調べ、時には自らそれらの地に足を運び、その経験をもとに制作を行うスタイルへと移行しています。今津は、デジタルアーカイブやインターネット上の画像を取り入れ、それらをコンピューターアプリケーションで独自に加工した上で、油彩でキャンバスに描く、伝統的な技法と現代的な技術を組み合わせた独自のスタイルで作品を制作しています。また、現在起きている出来事だけでなく、過去の神話や歴史、生物の進化などの画像データなどを組み合わせることで、複数の時間軸やテーマを重ね合わせた作品が生まれ、現代社会が抱える問題を普遍的な視点から問いかけています。本展では平面作品だけでなく、3Dプリンターを活用した巨大彫刻やインスタレーション、そしてインドネシアの歴史や自然環境をテーマにした新作も公開され、今津の多彩な創作世界を体感できます。

展覧会タイトル「タナ・アイル」はインドネシア語で「土」と「水」を意味し、「故郷」を象徴する言葉です。今津にとって、現在暮らしているインドネシアと自身のルーツがある日本の二つの故郷、そしてそこでの経験に基づいて制作された作品群は、鑑賞者にも自らの生きる場所について考えさせるきっかけを提供します。

現代社会の課題と個人の視点が交差する今津景の作品群。ぜひ会場でその壮大なビジョンを体験し、私たちの生きる世界を再発見してください。

2) UESHIMA MUSEUM ANNEX「今津景展」(2025年1月15日(水)-2025年3月末日)

左:「今津景展」エキシビションポスター
左:UESHIMA MUSEUM ANNEX「今津景展」展示風景

昨年6月に渋谷教育学園内にオープンしたUESHIMA MUSEUM(本館)に続き、2025年1月にUESHIMA MUSEUM ANNEX がオープンしました。このAnnex館では2025年1月15日から「今津景展」が開催されています。国内でも有数の大規模なコレクションを有するUESHIMA MUSEUM COLLECTIONは、同時代性をテーマに集められた多様な作品を有しており、先に触れた東京都庭園美術館へも三嶋りつ惠の《VENERE》(2023年)を貸出しています。本展では同コレクションが所蔵する12点の今津作品が一堂に会し、特に2019年制作の大作《生き残る》が注目の的となっています。

今津景は、インターネット上で収集した多様なイメージをデジタル編集し、それを基に油彩で描く独自の手法で知られています。デジタル編集の過程で生じるバグやグリッチといった偶発的な要素も作品に取り入れ、伝統的な絵画技法では得られない視覚体験を提供します。このようにして生まれる作品は、絵画とデジタルの境界を超え、鑑賞者に新たな視点を提示します。

本展は、2000年代後半から現在までの約20年間にわたる今津のキャリアを概観する構成となっています。日本からインドネシア・バンドゥンへの拠点移動や、出産・育児といった個人的な経験が、作品のテーマやモチーフに大きな影響を与えているであろうことが、各時代の作品の変遷を通じて感じ取ることができます。

3) 東京都現代美術館「坂本龍一|音を視る 時を聴く」(2024年12月21日(土)-2025年3月30日(日))

左:「坂本龍一|音を視る 時を聴く」展 ポスタービジュアル
中央上:「坂本龍一|音を視る 時を聴く」東京都現代美術館、2024年 坂本龍一+高谷史郎《async–immersion tokyo》2024年 ©2024 KAB Inc. 撮影:浅野豪
中央下:田中泯 場踊りat 坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE−WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662 Photo: 平間至
右:「坂本龍一|音を視る 時を聴く」東京都現代美術館、2024年 坂本龍一×岩井俊雄《Music Plays Images X Images Play Music》1996–1997/2024 ©2024 KAB Inc. 撮影:丸尾隆一

2024年12月21日(土)より東京都現代美術館で開催されている、「坂本龍一|音を視る 時を聴く」展は、日本が誇る音楽家であり、アーティストであった坂本龍一の芸術的探求を包括的に体感できる展覧会です。坂本の没後、日本では初めてとなる大規模な個展であり、音楽と美術を融合させた新たな体験が広がります。

坂本は、その多様な表現活動で知られており、マルチメディアを駆使したライブパフォーマンスや2000年以降に始まった「音」を展示空間に立体的に設置する表現方法の探求など、多彩な創作活動を実施しました。本展では、彼の50年以上に渡る活動のなかで、関心の対象としてあった「音」と「時間」をテーマにした、未発表の新作や代表作など、没入型・体験型のサウンド・インスタレーション作品約10点が披露されます。

音楽と視覚、時間と空間が交錯するこの展覧会は、従来の枠を超えた芸術体験を提供しています。坂本龍一が追求した「音を視る」、「時を聴く」世界を、ぜひ体感してください。

4) SBIアートオークション「第69回SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art」(2025年1月25日(土)-1月26日(日))

Courtesy of SBI Art Auction

SBIアートオークションは、2025年1月25日(土)及び26日(日)に、代官山ヒルサイドフォーラムにて「第69回SBIアートオークション|MODERN AND CONTEMPORARY ART」を開催。新しい年の幕開けにふさわしい、国内外で注目を集める巨匠から新進気鋭のアーティストまで、幅広いラインナップが揃ったオークションとなります。

抽象絵画の先駆者であり、幾何学的な構成と独特の色彩感覚が特徴的な山口長男の《小さい窓》は、筆致の力強さやモダンアートの潮流の一つとしての作家の表現性が見て取れ、今回のオークションカタログの表紙を飾りました。草間彌生の代名詞とも言える南瓜がモチーフのアクリル画やブロンズ・ラメのシルクスクリーンのほか、草間に並び海外からの人気も絶えない奈良美智の16点組のプリント作品など珍しい作品群が集結しました。

海外からは、ドイツの現代アートを代表するゲルハルト・リヒターの作品が登場し、具象と抽象を巧みに融合させた表現、光と色彩の深い研究が反映され、抽象画の中に詩的な美しさが宿ります。一方、抽象画が流行した1950年代のアメリカで、具象表現と大胆な色彩でその存在を世に示したアレックス・カッツ、ポップアートの代表的な画家の一人であるアンディ・ウォーホル、アジアからは韓国と日本の戦後美術を代表する作家の一人である李禹煥らの作品も登場します。また、巨匠だけでなく若手作家の作品も充実しており、少女のモチーフと鮮やかな色彩、筆ではなく画家自身の手を使い描かれる独特の表現が特徴的なロッカクアヤコや新進気鋭の作家として学生時代から注目を集める友沢こたおの作品も注目です。

新年の始まりに珠玉のアート作品と触れ合い、芸術が持つ力を実感するのはいかがでしょうか。オークションは土日開催となり、下見会期間も延長されます。普段ご参加が難しい方もこの機会にぜひオークションハウスならではのラインナップをご覧ください。



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PRESS - 2025.01.17

昨年を上回り、自社歴代2位の成績を記録。落札率平均90%超を維持。 2024年の活動を振り返るアニュアルレポートを公開

SBIアートオークション株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役:藤山友宏)は、2025年1月17日(金)に、2024年の活動を振り返るアニュアルレポートをウェブサイト上で公開いたしました。

2024年、当社は計7回のオークションを開催し、アートコレクターや愛好家をはじめ皆様からの多大かつ継続的なご関心を賜り、オークション事業開始以来歴代2位だった昨年の成績を上回る落札総額60.1億円を記録いたしました。また、本年は他分野の外部企業様とのコラボレーション企画のほか、当社にとって初めて海外での巡回下見会を韓国・ソウル特別市にて開催し、より国際的なオークションハウスを目指した飛躍の年となりました。なお、海外巡回下見会については、会場であるART CHOSUNのプラットフォームにて下見会の様子をお伝えする動画が公開予定ですので、ご期待ください。

本レポートは、いくつかの角度から当社の活動を紐解き、日本のアートマーケットの一端を提示するものです。今回、新たな試みとして、2024年に当社での取り扱いが豊富だった作家の一人である草間彌生に着目し、当社取扱い作品を中心に見ていくことで、作家のマーケットにおける立ち位置に迫ります。

今年のオークションデータ以外にも、昨年開催されたイベントの様子なども含めた盛りだくさんな内容となっております。ぜひご覧ください。

■2024年レポート
【目次】
はじめに
サマリー
開催概要と実績
参加者動向
クローズアップ:草間
2024年の主なイベント
2025年上半期スケジュール

【公開日】
2025年1月17日(金)

【掲載場所】
当社ウェブサイト:https://www.sbiartauction.co.jp/news/article/127

■SBIアートオークションとは


20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、モダンアートや写真・デザイン・工芸など、多岐にわたりお客様のライフスタイルを彩る良品をご紹介する公開型オークションです。登録顧客の国籍は63か国、落札総額の約5割を海外顧客の落札が占める(※)など、国内随一の国際性を誇ります。日本のアートマーケットを象徴する作家の作品はもちろん、国内オークションへの出品が少ない海外作家の作品も積極的に紹介し、日本のアートマーケットの成長・拡大に取り組んでいます。(※)2025年1月現在
Instagram:https://www.instagram.com/sbiartauction/

■オークション参加について
オークションは売却額を競り上げる方式で行われます。
初めて参加くださるお客様には、事前の登録をお願いしております。
オークションで作品を購入する方法の詳細は、以下のページでご確認いただけます。
購入方法詳細:https://www.sbiartauction.co.jp/buy-sell/buy/

■今後のオークションスケジュール(予定)
第69回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
開催日:2025年1月25日(土)、26日(日)

第70回SBIアートオークション|Bloom Now
開催日:2025年3月8日(土)

■SBIアートオークション株式会社
美術品のオークション、売買、売買仲介、ファイナンス、アドバイザリー等、お客様のニーズに応じて、国内外の幅広いネットワークを活用した多角的な事業を展開しています。サービスの提供を通じて、より多くの方に美術品を所有する喜びや大切さ、面白さを伝えていくと同時に、美術品を永く大切にし、次の代につないでいくお手伝いをしております。

会社名:SBIアートオークション株式会社
代表者:代表取締役 藤山友宏
所在地:東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
設立:2011年4月1日
HP:https://www.sbiartauction.co.jp/

※当社ウェブサイトを装ったなりすましにご注意ください。

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PRESS - 2025.01.17

Report

過去のレポートをご覧いただけます。



2024年
サマリー
・2024年の総落札額は60.1億円を記録し、当社の歴代実績において2位となる好成績を記録
・年間を通じて開催した7回のオークションすべてにおいて90%以上という卓越した落札率を達成し、安定した成約力を実証
・当社オークション史上初めて、単一作品の落札価格が2億円を超える記録を樹立し、特に草間彌生作品においては、質・量ともに充実した出品が相次ぎ、セールス全体を大きく牽引
・落札額ベースでの国内外比率がほぼ同等となり、海外コレクターの強い購買意欲が顕在化
・アートと異なるジャンルとのコラボレーションや、初の海外巡回下見会の実施など、革新的な施策に積極的に挑戦。新たな価値創造に向けた取り組みを展開



レポート全文(PDF)



2023年
サマリー
・計7回のオークションで落札総額は52.0億円、オークション事業開始以来歴代2位の成績。不安定な市況の中にあって、高水準の平均落札率を維持
・セール形式を問わず昨年並みの参加者数を記録。落札者の国際性の高さ、年代の幅広さも健在
・揺るぎない存在感を示す草間・村上・奈良の3作家に留まらず、日本の美術史を形作ってきた作品から、同時代の作品をひろくご紹介し、好評を博した


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2022年
サマリー
・前年比の1.5倍となる落札総額69.3億円を記録
・オンライン配信型セールが定着
・落札価格帯ボリュームゾーンの上昇変化
・若年層コレクターのプレゼンスの高まり


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PRESS - 2025.01.06

2025年、新年の幕開けに芸術鑑賞 時代を映す名作が一堂に集合

SBIアートオークション株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役:藤山友宏)は、2025年1月25日(土)及び26日(日)に、代官山ヒルサイドフォーラムにて「第69回SBIアートオークション|MODERN AND CONTEMPORARY ART」を開催いたします。新しい年の幕開けにふさわしい、国内外で注目を集める巨匠から新進気鋭のアーティストまで、幅広いラインナップとなりました。

 抽象絵画の先駆者であり、幾何学的な構成と独特の色彩感覚が特徴的な山口長男の《小さい窓》は、筆致の力強さやモダンアートの潮流の一つとしての作家の表現性が見て取れます。草間彌生の代名詞とも言える南瓜がモチーフのアクリル画やブロンズ・ラメのシルクスクリーン、そして草間に並び海外からの人気も絶えない奈良美智の作品は、セラミックの彫刻作品《火の山 (No. YNF5387)》をはじめ、16点組のプリント作品など珍しい作品群が揃いました。

 海外からは、ドイツの現代アートを代表するゲルハルト・リヒターの《Haggadah (P2)》が登場。具象と抽象を巧みに融合させた表現、光と色彩の深い研究が反映され、抽象画の中に詩的な美しさが宿ります。一方、抽象画が流行した1950年代のアメリカで、具象表現と大胆な色彩でその存在を世に示したアレックス・カッツの作品《Red Coat (Cantz 164)》は、赤色の持つ力強さとカッツ特有の大胆な構図が特徴的で、ミニマルでモダンな肖像画や風景画は新年の空気を鮮やかに彩ります。また、アンディ・ウォーホルによる小説家フランツ・カフカの肖像のシルクスクリーンは、何色もの異なる青色が爽やかさを感じさせます。韓国と日本の戦後美術を代表する作家の一人である李禹煥の「Dialogue(対話)」シリーズは、見る者に余白の存在を強く認識させるとともに、シンプルでありながら立体的な存在感を持ちます。

 巨匠だけでなく若手作家の作品も充実。ロッカクアヤコの《Untitled》は、少女と花が白地の背景に描かれ、作家の作品で多く見られる画面を埋めるような鮮やかな表現とはまた一味違う作風を感じられます。新進気鋭の作家として学生時代から注目を集める友沢こたおの作品は、幼児のような顔に纏わりつくスライムが対照的な印象を与えます。

 新年の門出に珠玉のアート作品と触れ合い、芸術が持つ力を実感するのはいかがでしょうか。本オークションは土日開催となり、下見会期間も延長されます。普段ご参加が難しい方もこの機会にぜひお立ち寄りください。一人でも多くの方がお気に入りの作品と出会える機会を提供できるよう、本年も邁進してまいります。


■実施概要
「第69回SBIアートオークション|MODERN AND CONTEMPORARY ART」
総出品数:408点
エスティメート下値総額:351,540,000円(予定)

【オークション】
2025年1月25日(土)、26日(日)いずれも12:00-

【下見会】
日程:2025年1月22日(水)-1月26日(日)
会場:ヒルサイドフォーラム(〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟1階)

※会場、もしくは、電話、書面又はオンライン入札にてご参加ください。
※オークションの進行状況はYouTubeから視聴できます。
 YouTube Streaming:https://www.youtube.com/channel/UC32a7MUOI-xI1DY-CghG-KA
※詳細はウェブサイトをご確認ください。
 https://www.sbiartauction.co.jp/lp/2025_01_26/jp/(2025年1月6日(月)公開予定)


■出品作品ハイライト 
※オンラインカタログ(1月6日(月)公開予定)https://www.sbiartauction.co.jp/auction/catalogue/127



■SBIアートオークションとは


20世紀以降のコンテンポラリーアートを中心に、モダンアートや写真・デザイン・工芸など、多岐にわたりお客様のライフスタイルを彩る良品をご紹介する公開型オークションです。登録顧客の国籍は63か国、落札総額の約5割を海外顧客の落札が占める(※)など、国内随一の国際性を誇ります。日本のアートマーケットを象徴する作家の作品はもちろん、国内オークションへの出品が少ない海外作家の作品も積極的に紹介し、日本のアートマーケットの成長・拡大に取り組んでいます。
(※)2024年7月現在
Instagram:https://www.instagram.com/sbiartauction/
 
■オークション参加について
オークションは売却額を競り上げる方式で行われます。
初めて参加くださるお客様には、事前の登録をお願いしております。
オークションで作品を購入する方法の詳細は、以下のページでご確認いただけます。
購入方法詳細:https://www.sbiartauction.co.jp/buy-sell/buy/
 
■今後のオークションスケジュール(予定)
第70回SBIアートオークション|Bloom Now
開催日:2025年3月8日(土)
開催場所:東京国際フォーラム
 
■SBIアートオークション株式会社
美術品のオークション、売買、売買仲介、ファイナンス、アドバイザリー等、お客様のニーズに応じて、国内外の幅広いネットワークを活用した多角的な事業を展開しています。サービスの提供を通じて、より多くの方に美術品を所有する喜びや大切さ、面白さを伝えていくと同時に、美術品を永く大切にし、次の代につないでいくお手伝いをしております。
会社名:SBIアートオークション株式会社
代表者:代表取締役 藤山友宏
所在地:東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
設立:2011年4月1日
HP: https://www.sbiartauction.co.jp/
※当社ウェブサイトを装ったなりすましにご注意ください。

問合せ先 
SBIアートオークション株式会社 
広報担当 加来・岡村・鈴木
〒135-0063 東京都江東区有明3-6-11 TFTビル東館
Tel. 03-3527-6692  
Fax. 03-3529-0777  
Mail. ArtAuction@sbigroup.co.jp  
Web. www.sbiartauction.co.jp

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NEWS - 2024.11.15

ART COLLECTOR INTERVIEW 開き、交感する:コレクションすること、オークションという装置について  UESHIMA MUSEUM COLLECTION 植島幹九郎氏インタビュー

事業家・投資家として多彩な顔を持つ植島幹九郎氏が2022年2月に設立したUESHIMA MUSEUM COLLECTIONは、拡張を続け、今日その点数は700点以上にのぼります。形成の初期より高度に社会性を持った、その同時代的なコレクション行為は、「開かれている」という正にそのことによって、植島氏のうちに親密かつ特別な体験と深まりをもたらしているようです。SBIアートオークションでも取引をされている植島氏に、その類を見ない蒐集姿勢と、蒐集活動においてオークションが担う役割について伺いました。

⊳アート購入のきっかけを教えてください。

2011年の東日本大震災時に炊き出しに被災地に行った際に知り合った、特定非営利法人ピースウィンズ・ジャパンの大西健丞さんと交流を続ける中で、彼らが手がける芸術による地域振興活動を知りました。その中に、世界的アーティストであるゲルハルト・リヒターの14枚のガラス作品がある無人島というのがあるというので、「なぜそんなところに著名作家の作品が?」と聞いたところ、「紛争地域の支援に関連してリヒターに直接会う事になった縁で、本人から寄贈していただいた」とのこと。アーティストが社会活動に共感し行動する様を目の当たりにして、アートと社会の関わりに関心を持ちました。その作品の公開が開始された年と同じ2016年に、NYのマリアン・グッドマン・ギャラリーでリヒターの個展があり、彼の作品を間近で見て衝撃を受けました。それ以来、アートを購入しては自分の家などの展示できる場所に飾っていましたが、その当時自由に使える壁面も限られていたので、壁が埋まってしまったことで一時蒐集をやめていた時期があります。

⊳インターバルを経て、本格的に蒐集をするようになったのはいつからですか。

本格的に購入を始めたのは、2022年からです。事業拡大したことで展示に使える壁面にも余裕ができたため、いよいよアートを買っていきたいと思ったんですね。その年は、とにかく沢山のギャラリーを見て回り、アートフェアやオークションにも積極的に参加しました。活動範囲も日本に限らず、例えば韓国のFrieze SeoulやArt Baselなど海外にも広がりました。

⊳そのうえで、アート購入を「コレクション」として体系的に行っていくことを意識されるようになったのはいつなのでしょうか。

コレクションとして体系的に意識するようになったのは、2022年の途中です。多くのギャラリストやアーティストから、「購入されても倉庫に眠ってしまい、飾られないまま、鑑賞されないまま手放されてしまう作品も多い」といった話を聞き、展示することを前提に購入している自分にとっては大変な驚きでした。そこから、作品を公に公開するためにコレクションとして意識するようになりました。まずは、やはり壁面の制限がボトルネックになってしまうので、HPやSNSでデジタルに公開し、多言語でキャプションをつけることから始めました。また同時に展示の場所をオフィスにも展開するようになりました。

⊳ コレクションを積極的に発信されていますが、どのような影響・反応がありますか。

UESHIMA MUSEUM COLLECTIONとして購入した作品を公開するようになり、出会いのきっかけが増えたと思います。例えば、私は新たに蒐集した作品はInstagramで公開するようにしているのですが、SBIアートオークションでボスコ・ソディを落札した時、Instagramの投稿を見た作家から「購入してくれてありがとう」と連絡が来て、来日時に食事をしたということがありました。プライマリー(ギャラリーなど、一次流通市場のこと)で購入した場合は、作家に購入者のことは伝わりますが、セカンダリー(オークションなど、二次流通市場のこと)の場合、誰が買ったかをアーティストは知ることがなかなかできません。SNSで公開することで、アーティストに作品の所在を伝えることができ、それがアーティストとつながるきっかけとなっています。私は公開をコレクションのポリシーにしているので、投稿などを通じてアーティストにも知ってもらえるというのは大きいですね。

⊳貸し出しの依頼などもありそうですね。

そうですね。例えば、UBSの東京オフィスで行われたアーティストトークで作品を貸し出しました。あとは9月から福岡市美術館でUESHIMA MUSEUM COLLECTIONのコレクターズ展をやっていただくのですが、そうした外部での展示の機会も増えています。UESHIMA MUSEUMでの展示状況とも調整しつつ、積極的にアートを通じて社会に関わっていこうと思っています。

⊳ 今年の6月、渋谷にUESHIMA MUSEUMを開館されました。そのことで変わったことはありますか。

コレクションをたくさんの方に見ていただける機会が増え、その上で反応がわかるようになり、そこからの気づきや学び、経験が増えました。それまではウェブ上での公開が主だったので、誰が見ているのかや、見ていただいた方の反応を見ることができませんでした。今は、自分が館内でコレクションの案内をすることもあり、もっとインタラクティブな形で反応を見る事が出来るようになったと思います。また、美術館での展示を通じたアーティストとのやりとりも挙げられますね。美術館には、一人の作家に特化した展示室が複数あるのですが、例えばシアスター・ゲイツの展示室に関しては、オープニングのタイミングが作家自身の森美術館での個展の準備期間と重なったこともあり、内装工事中にお見えになって、展示空間の造り込みに携わって下さいました。展示室で流れている音楽についても、作家自身がオリジナルの音源を送ってくれたものになっています。ただ作品を購入するだけでなく、アーティストやキュレーターの方ともやり取りをしながら、どう展示するか、どう皆さんに見ていただくかを考えることで、作家や作品への理解や愛着が深まり、非常に楽しい経験ができています。

⊳開くことによって新たに見える・得られることがあるのですね。現在開催中の展示の中に、弊社のオークションでご購入いただいたものも含まれています(村上隆×ヴァージル・アブロー、2022年3月オークションで落札)。確か、弊社オークションで初めてご落札いただいたのは、2016年4月のセールだったかと思いますが、他社も含めて、初めてオークションに参加されたのはいつですか?

それこそ、その2016年のSBIアートオークションが初めてで、それ以前に国内外のその他のオークションには参加していません。確か、会場に行ってその場でパドルをあげたと思います。アート業界に特に接点がなく、知り合いもいない中で、調べたら東京でオークションをやっているということで参加しました。中村一美さんやジャン=リュック・モーマンなどを購入しましたね。

⊳オークションは弊社が初めてだったとは、光栄です。それまではギャラリーが主だったかと思いますが、オークションとギャラリーでの体験の違いについて教えてください。

両者の体験にはかなり違いがありますね。まず、日本はともかく海外のオークションハウスの場合は下見会会場に毎度足を運ぶことは難しく、作品を実際に見ずに購入することも往々にしてあります。オークションで落札した作品の中で、下見会で見てから落札したのは全体の10%もいかないくらいではないでしょうか。ギャラリーも海外の場合はリアルで見られないことが多いのに変わりはないのですが、オークションは特にその傾向が強いです。その意味では、日本に作品があって、見ることができる環境でオークションに参加できるのはSBIのアドバンテージですよね。また、プライマリーでは買いたくても人気が殺到してしまうとオファー待ちで買えない時がありますが、オークションは気持ちがあれば買える。競りに挑む時は、ワクワク、ドキドキがあります。オークションは週末に開催されることが多いので、私は家族と過ごしながら、公園とか遊園地とかでもスマホで入札しているのですが、家族と一緒に「買えた」とか「あーダメだった」とか言いながら参加しています。このダメだったというのも、結局自分がもう1ビッド行かなかったということ。だから、どうしても欲しいという気持ちが強くないと落札は難しいと思います。その気持ちの源泉としては、やはりこの瞬間のここにしか出てこない作品であるというところが大きいでしょうか。ギャラリーで購入できる作家であっても、過去の作品はプライマリーには出てこない。オークションは過去作が欲しいときなどにも有用ですね。競りが自分の入札で止まると「早く(ハンマーを)打ってよ-」と思うのですが、ぎりぎりのところで他の入札が入ってしまうことも。そうしたオークションのライブ感を楽しんでいます。

⊳ 落札するには気持ちの強さが大事なのですね。植島さんは、普段どのようにオークションに臨まれているのですか。

セールまで、カタログは複数回チェックします。まずは全体をパーっと見て、気になったものにマークをつけます。マークをつけた作品は、メディウムやサイズなどの作品情報を確認し、過去の市場価格やエスティメートなどを調べます。また、興味を持った作品の作家に関しては、知っていても知らなくても、必ずCV(経歴や展示歴などをまとめた資料)を確認するようにしています。1回目はやはり自分の先入観とか既知のものとかに反応してマークしてしまっていることがあり、見落としているものがあるかもしれないので、確認のために2-3回見ますね。作家名、画像、作品の色味、金額など、目についてくる点は色々あるので、異なる視点で隈なく見るようにしています。

⊳ オークションの場合は事前にかなり下調べをされて臨まれているとのことですが、ギャラリーでの購入に関してもそうなのか、偶然的な出会いで購入されるのか、どちらでしょうか。

両方ありますね。ギャラリーが集合しているコンプレックスに行く場合、目的のギャラリーの横の別のギャラリーにふらっと立ち寄った際に、新しいアーティストや作品と出会うこともあれば、個展の情報を見たうえでそれを目がけてギャラリーに伺う場合もあります。

⊳ なるほど。ちなみに、今注目されているアーティストはいらっしゃいますか。

例えば今津景さんに注目しています。1人の作家の作品で、10点以上所有している作家は少ないのですが、彼女はその一人で、今津さんの作品は多く所有しています。あと、かなりベテランの作家の中では、松本陽子さんも注目しています。

⊳今津さんはオークションマーケットでも人気が高まっている作家さんです。さて、オークションの話に戻りますが、弊社オークションをご利用いただく際、事前にスタッフに購入について相談されたりするのでしょうか。どういった話をされていますか。

下見会に行った際に、どの作家の人気があるかなどを聞いたりしますね。ただ、どの作家を競ろうと思っているといったことは、あえてあまり言わないようにしています。競りにおいては、より高い価格で落札されるようにオークションハウスは活動していて、それがマーケットの性質としてあるのだと理解しているので、欲しい作品を前にしても、(狙っていることが周りに知られることで)作品が注目を集め、ライバルが増えることを避けたいので、あえてポーカーフェイスでいます。これは個人的な考えなので、実際にどのくらい影響があるかはわからないのですけど。

⊳多くを語らないご様子には、そういう理由があったのですね。国内外、様々なオークションハウスがありますが、SBIアートオークションを利用される理由は何ですか。その特徴はどこにあると思いますか。

アジア・日本の作家でSBIでしか出品されていないものがあります。また日本に住んでいますので、下見会を日本で見られるし、送料も安いのは魅力です。送料を理由に購入を見送ることはないですが、とはいえ海外輸送は費用がかかりますので、その点リーズナブルだと感じます。私は主に、今津景さんや加藤泉さんなど、プライマリーで作品がなくて買えない作家や若い作家の作品の購入にSBIを利用することが多いかなという印象です。加藤さんなんて本当に買えないんですよ。

⊳ 例えば昨年ご購入いただいたアブディアなど、海外の作家で、日本のギャラリーでは取り扱いが無い作家もいらっしゃるかと思います。弊社オークションでご落札をいただいたのは、日本で作品を実際に見る機会があった中で買われたのか、それとも以前からチェックしていて、リーズナブルだから買った形でしょうか。

元々アーティストのことは知っていて、他のオークションでもずっと見ていました。比較的に安かったという点もありますが、結構ユニークな作品だったため、購入しました。先程、SBIの特徴としてアジア・日本の作家のラインナップの話をしましたが、一方で、このような海外作家の作品を見る機会があると良いなとも思います。

⊳日本で行われるセールで、欧米の作家の作品がもっと買えるようになったらいいとか、あるいは逆に、戦後美術など国内作家が増えて欲しいなど、コレクターとしてはどのように思われますか。

両方あると良いかもしれません。例えば、アメリカの方が全く知らない日本のアーティストだけだったらセールに参加しなかったけれど、知っている欧米の作家の作品があったことで参加し、そこから日本のアーティストを知るというようなケースもあるかと思います。最終的には、「PhillipsやChristie'sでやっているような現代アートのラインナップを、日本で見られるのはSBIだけ」というようになれたらいいですよね。海外のオークションハウスは日本でオークションを開催しないですし、下見会も日本ではほぼ無い。だからこそ逆にチャンスはあると思います。

⊳ありがとうございます。最後になりますが、弊社に期待すること、あるいはこうなってほしいなどのご要望があれば、お聞かせいただけますと幸いです。

今も海外から参加されている方は多いと思いますが、よりSBIアートオークションに参加される方が国際的に増えていってくださると良いなと思います。グローバルに認知されていってくれれば嬉しいですね。日本のアートやアートマーケットが、ドメスティックに留まるのではなく、グローバルに繋がるなかで、日本のアーティストが海外の方に知られるようになってほしいと思いますし、日本のコレクターが海外のアーティストの作品に触れる機会も増えて欲しいと考えています。SBIが、日本に作品を持ってきたうえで、日本でオークションを開催しているグローバルな企業になってくれたら嬉しいなと思います。


UESHIMA MUSEUMとは


2024年6月に渋谷教育学園の旧ブリティッシュスクール(東京)の建物を改装しオープンしたUESHIMA MUSEUMは、事業家であり、投資家の植島幹九郎氏が2022年2月に本格的にスタートした美術コレクションであるUESHIMA COLLECTIONをもとに設立されました。ビジョンとして『「同時代性」について、美術を通じて考える場になる。』を掲げている同館は、1990年代以降に制作された作品が展示されており、現在はオープニング展を開催しています。UESHIMA COLLECTIONは、2022年に始まったばかりである比較的新しいコレクションでありながら、このわずか数年の間にすでに700点(2024年6月時点)にのぼるコレクションを収蔵し、今年の美術館の設立にまで至ったこのスピードの速さは、まさに目まぐるしく世情が移り変わる現代の流れを反映しているかのようです。
館内には、アーティストの作品をもとにデザインされた展示室が複数存在します。オラファー・エリアソンの《Eye see you》(2006)は、照らす対象の色を全て同色に染める点が特徴的であり、この作品が設置された展示室には作品を挟むように両側に鏡が設置されており、無限にこの光の世界が続くような錯覚をもたらします。コンポーザーであり、アーティストの池田亮司の《data.scan [n°1b-9b]》(2011/2022)は、カーテンで遮断された真暗の展示室に設置され、9枚のディスプレイにそれぞれ異なるデータが映し出されています。同館には、このような国際的な人気や知名度を誇る作家だけでなく、日本国内やアジア圏での活動を主とした作家や美術業界でのキャリアを開始したばかりの作家も含まれており、全てのアーティストを対象としてコレクションを現在も拡大し続けています。
最近では、オープニング展の展示作品に新たなコレクションが加わりました。東京にお越しの際には、是非お立ち寄りいただけますと幸いです。

UESHIMA MUSEUM
住所:東京都渋谷区渋谷1-21-18 渋谷教育学園 植島タワー
開館時間:11:00-17:00
休館日:月曜、祝日
Webサイト:https://ueshima-museum.com/

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AUCTION - 2024.10.28

【落札結果&次回出品募集】第68回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art

2024年10月25日、26日開催のオークション「Modern and Contemporary Art」の落札結果をご報告をいたします。
ご参加いただき誠にありがとうございました。

総額:1,529,592,000円
落札率:90.3%
・落札率90.3%
・2024年の最後を飾るセール、落札総額は15億2,959.2万円
・トップロットはLot219草間彌生の「かぼちゃ」で落札額2億4,725万円 

>> 落札結果 [オンラインカタログ]
>> 落札結果 [PDF]

◆落札結果ハイライト
落札価格には手数料(消費税別)が含まれています。




Lot. 219
草間 彌生
かぼちゃ
150,000,000 - 250,000,000 JPY
Price Realized 247,250,000 JPY



Lot. 220
草間 彌生
インフィニティNET
120,000,000 - 220,000,000 JPY
Price Realized 143,750,000 JPY



Lot. 218
草間 彌生
かぼちゃ セルフオブリタレーション
80,000,000 - 140,000,000 JPY
Price Realized 112,700,000 JPY



Lot. 173
アンディ・ウォーホル
Marilyn Monroe (F. & S. Ⅱ.26)
15,000,000 - 25,000,000 JPY
Price Realized 26,450,000 JPY



Lot. 212
李 禹煥
With Winds
15,000,000 - 25,000,000 JPY
Price Realized 34,500,000 JPY



Lot. 210
河 鍾賢(ハ・ジョンヒョン)
接合 91 - 23
15,000,000 - 25,000,000 JPY
Price Realized 21,275,000 JPY



Lot. 183
元永 定正
ほわほわ
4,000,000 - 7,000,000 JPY
Price Realized 12,075,000 JPY


Lot. 196
中村 宏
修学旅行
2,000,000 - 3,000,000 JPY
Price Realized 23,000,000 JPY



Lot. 307
ベルナール・ビュッフェ
Lauriers-roses, liliums et jonquilles
10,000,000 - 15,000,000 JPY
Price Realized 16,675,000 JPY



Lot. 248
加藤 泉
無題
3,000,000 - 5,000,000 JPY
Price Realized 6,900,000 JPY


Lot. 269
ロッカク アヤコ
Untitled
18,000,000 - 28,000,000 JPY
Price Realized 30,130,000 JPY



Lot. 275
西村 有
girl
2,500,000 - 3,500,000 JPY
Price Realized 8,855,000 JPY


◆開催予定と出品募集
第69回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art
開催日:2025年1月25日(土)- 26日(日)
下見会:2025年1月22日(水)- 26日(土)
出品受付締切:2024年11月18日(月)

第70回 SBIアートオークション|Tokyo Contemporary: Redefined
開催日:2025年3月8日(土)
出品受付締切:2024年11月29日(金)

出品をお待ち申し上げております。
査定は下記からお申込みいただけます。
ご検討くださいますようお願いいたします。
>> 査定依頼

◆問合せ先
SBIアートオークション
TEL: 03-3527-6692 FAX: 03-3529-0777
Email: artauction@sbigroup.co.jp

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PRESS - 2024.10.16

アートパラ深川おしゃべりな芸術祭にメインパートナーとして協賛

アートパラ深川おしゃべりな芸術祭2024 協賛のお知らせ

SBIアートオークション株式会社は、まだ世の中に知られていないアーティストに光をあて、障がいのあるアーティストが描くアートの魅力と価値を社会に伝える『アートパラ深川おしゃべりな芸術祭2024』(以下略称:アートパラ深川)のメインパートナー企業として、2022年より協賛をしております。
アートパラ深川は、障がいのあるアーティストの作品で街全体を美術館にするというコンセプトの市民芸術祭で、10月19日(土)~27日(日)の9日間、江東区【門前仲町・清澄白河・森下・豊洲】で開催されます。
今年は2年に一度の全国公募展「アートパラ深川大賞2024」が開催され、約950点の個性あふれる作品の応募の中から厳正なる審査の結果、約160点が入選作品(このうち入賞作品は45点)に選ばれました。入選作品の中から「SBIアートオークション賞」も選定させて頂いております。
アートの力が人々を引き寄せ、おしゃべりを楽しみ、お互いを認め合い、そして支え合う。「共に生きる」社会を目指す手作りの芸術祭をぜひお楽しみください。

芸術祭公式サイトはこちら

芸術祭に関するお問い合わせ先
〒135-0045 東京都江東区古石場 3-11-17 福島デザイン内
アートパラ深川おしゃべりな芸術祭実行委員会
TEL:03-4400-9298[月・木・金 10:00~16:00]
Email : info@artpara-fukagawa.tokyo

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