2024年3月9日に開催の第63回 SBIアートオークション｜Tokyo Contemporary: Redefinedの中から、注目作品をご紹介いたします。

ドイツ出身のゲルハルト・リヒターは、多様で革新的な作品で知られる著名な現代アーティストである。油彩、写真、ガラスパネル、デジタル印刷に至るまで、60年にわたり絵画の及び視覚的な境界線を拡張してきた。抽象と具象の間を行き来し、習慣的な芸術の型や常識に挑み続けるリヒターは、その代名詞ともいえるフォト・ペインティングやスキージ（へら）を使用した表現、デジタルメディアへの探求等、芸術界へ大きな影響を与え続けている。

本作は、2011年にリヒターが79歳の時に始めたストライプシリーズの一点である。ストライプシリーズとは、1990年に制作された原画《Abstract Painting Abstraktes Bild [CR: 724-4]》を基に、異なる72種のストライプパターンで制作されたデジタルプリントの作品で、72点それぞれがユニークピースである。11色のデジタルインクジェットプリントによって、そのイメージが複数回にわたって断片化・反転された支持体は、アルミニウムの裏には薄いペルスペックスの層を介してラミネート加工が施されている。スキャンされた画像をデジタル上で操作し再配置する方法により、多彩な色のパレットを持つ構成が作り出されており、色鮮やかなストライプはスキャンされた作品を縦に分割し、その縦線を反転・複製してから水平に伸ばして制作されている。手作業からデジタル技術への進化の中で、リヒターは絵画とテクノロジーを見事に融合させ、魅力的な調和を生み出している。
リヒターは2011 年に刊行された『Patterns』において、ソフトウェアの主導によって生成された 4000 を超えるパターンから厳選されたものを画集に収めている。それらの美しいパターンが示すのは、リヒターの細部、色彩、そして印刷の質に関する強い興味とこだわりである。

リヒターの作品は世界中で展示されており、その思想的な深みと技術的な完成度で知られている。リヒターの影響は永続的であり、それゆえに現代で最も重要な芸術家の一人としての彼の地位を確かなものにしている。

Lot.046 ゲルハルト・リヒター
2011
Strip (3232) (Butin 148)
デジタルファインアートプリント
S. 32.0 × 91.0 cm (12⅝ × 35⅞ in.)
Frame size: 53.0 × 105.0 × 3.5 cm (20⅞ × 41⅜ × 1⅜ in.)
来　歴：ワコウ・ワークス・オブ・アート、東京
展覧会： 2011年11月11日-30日「Gallery Show Part I」ワコウ・ワークス・オブ・アート、東京
JPY 7,000,000 - 13,000,000
USD 49,300 - 91,500

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